エンジニアの給料と福利厚生と税金の話

税金って,フリーランスの話じゃないの?と思われるかもしれませんが,実はそうではありません. サラリーマンもふるまい方によって税金の額は変わってきます. これらの話を知らないと,求人票を正しく比較できなかったり,何かと損をすることがあるかもしれませんからね.

家賃補助の話

家賃補助って知っていますか? 会社があなたの家賃を一部負担してくれる制度です.いいですよね. しかし,家賃補助は給与扱いとなり,税金がかかります. つまり,表面的な比較になりますが,以下の二つはもらえる手取りは変わりません.

  • 月収20万円,家賃補助5万円
  • 月収25万円,家賃補助なし

ですが,変わるところがあります. それは,「基本給が違うと,賞与も変わる」ということと,「家賃補助はカットが容易」ということです. つまり先ほどの例でいえば,下の方の給与の方が,賞与が大きくなる傾向にあり,また実質的な減給の可能性が低いということです. ですから家賃補助については,「家賃補助も含めた月収で比較するべきだが,同じならば基本給で与えてもらえるほうがメリットが大きい」と言えます.

借り上げ社宅制度の話

借り上げ社宅制度とは,会社が社宅を借り上げ,社員に貸し出す制度です. これを家賃補助と呼ぶ会社もありますし,まあもしかしたら社員もあまり区別していないかもしれませんが,税金の観点からすると大違いです. というのも借り上げ社宅制度は家賃補助とは違ってあらかじめ天引きされるので,給与として扱われないからです.給与として扱われないということは,税金も社会保険料もかからないということです. ちなみに社会保険料は会社も負担する分があるので,会社にとっても借上げ社宅制度はメリットが大きいのですが,なぜかあまり積極的に導入している会社は少ないように思います.見つけたらラッキー!的に思っておきましょう.

基本給と固定残業代の話

さて先ほど,「基本給が違うと,賞与も変わる」ということを述べました. この場合の基本給とは,固定残業代をのぞいた給与のことです.ここが問題で,求人票では「基本給」と言っておきながら固定残業代を含んでいて,「真の基本給」はもっと低いということがあります. 固定残業代については以下の記事で詳しく解説しています(固定残業代とは? )が, まとめだけざっくり言いますと,「固定残業代を除いた基本給で比較すべきだが,基本給が同じなら固定残業代が多くもらえるほうが有利」となります.

確定拠出年金ってなんだ?

確定拠出年金とは企業と個人が協力して老後の資金を運用する制度です.この制度では,拠出した金額は60歳になるまで引き出すことができません.しかしその代わりに,拠出した金額に対して税金がかからないというメリットがあります. IT業界においては退職金制度が存在しないような企業も多く,特に外資IT企業ではまったくと言っていいほど存在しません. まだ老後のことを考えている人は少ないかもしれませんが,例えば日本の企業との生涯賃金を比較するうえでは,退職金制度の有無を考慮する必要がありますので気をつけてください.

さて,確定拠出年金は,企業と個人あわせて毎月55,000円まで拠出することができます.ですが,企業が出す額以上を個人が拠出することはできないなど,細かい規定がありますので,詳しくは確定拠出年金の公式サイト をご覧ください.

社会保険料の算出方法の話

この部分は固定残業代で働いている方にはあまり関係がないのですが,実は年間で支払う社会保険料は,「標準報酬月額」という,四月,五月,六月の給料をもとに計算した値で決まります. ざっくりいうと,四月,五月,六月の給料が高いと社会保険料が高くなるということです.逆に言うと,そのほかの月の給料が高くても,社会保険料は変わりません.ただ,昇進や昇給などで大きく変動する場合には計算しなおします. であれば,あんまり関係ないんじゃない?と思われるかもしれません.しかし,一つ大きな指標があります.それは,残業代です. 残業を四月,五月,六月に多くすると,社会保険料が高くなってしまう一方で,残業を四月,五月,六月に少なくして,他の月に多くすると,相対的に社会保険料が安くなり,手取りが増えます. もちろん社会保険料は年金などになっていくわけなので,多いことにもメリットはあるのですが,個人的にはその分投資に自分で回したほうが利益が大きいと思っています. ですから,自分である程度残業をコントロールできる方は,四月,五月,六月に残業を少なくして,他の月に多くするのがおすすめです.

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