はじめに
本記事では,就職活動において,企業を探す際に役立つ「就職四季報」について紹介します. このサイトはエンジニアの就活をサポートすることを目的として作られていますが,就職四季報はエンジニア以外の方にも役立つと思います.
なお,本記事は特に東洋経済新報社とは関係ありません.
就職四季報とは
さて,そもそも就職四季報とは何でしょうか. 就職四季報は,毎年11月末に発行される,求職者向けの就職情報誌です. ちなみに株価などに主眼を置いた「四季報」というものもありますが,こちらは投資家向けの情報誌と言えます.
就職四季報の特徴
まず一番の特徴は,企業から掲載料を取っていないということです. これにより,宣伝ではない客観的な情報を得ることができます.
もう一つの特徴は,多くの企業の情報を多角的に見ることができるということです.有給休暇の取得率や,平均残業時間,平均年齢,平均年収,果ては採用実績校など,企業の様々な側面を見ることができます.
多くの企業と言いましたが,実際には主に上場企業が記載されており,大手SIerやメガベンチャーなどは記載されているものの,GoogleやAmazonなどの外資IT,スタートアップ企業などは記載されていません(日本オラクルのように,日本でのみ上場している企業は記載されています).
就職四季報の見方
東洋経済新報社の公式サイト には,就職四季報の見方についての説明がありますので,そちらも見ていただくのが良いと思いますが,ここではもう少し詳しく,私の主観を交えて説明します.
特に気を付けて見てほしい項目
これは私の主観ですが,特に気を付けて見てほしい項目を以下に挙げます.
有給休暇取得平均日数
会社によって支給される有給休暇の日数も異なりますが,それを取得するかどうかも会社によって大きく異なります. それに有給休暇の取得率は,会社の風土を表す指標となります.有給を取得することが難しい会社では,仕事が忙しいこともあるでしょうが,それ以上に「有給を取得することは悪いこと」「有給休暇を申請しづらい」という風潮があると考えちゃいますよね.この部分の取材に答えていない会社も同様で,正直「答えたくない」というのは相当悪いと捉えざるを得ません.
3年後の離職率
これも上の指標と同様で,離職率が高すぎる会社は,何か問題が起きていると言わざるを得ません.また「3年後新卒定着率」も,同様の指標となります.
25歳,30歳,35歳時点での平均年収
これは就職四季報の本当に貴重な指標です. 普通,ウェブサイトには「平均年収○○万円」と書いてあるだけで,年齢によってどう変わるのかは書いていません. いわゆるメガベンチャーとかって,入社時の年収は高いですが,その後の昇給が少なかったり,ボーナスが少なかったりすることが多いですよね.そういうのを見抜くのに,この指標は非常に役立ちます(もし記述されていないとしたら,これはやはり「答えたくないくらい昇給が渋い」ということでしょう).
採用実績校
いわゆる「学歴フィルター」というものは,決定的な存在とは言いませんが,それでもある程度の影響力はあると言わざるを得ません. 採用実績校を見ることで,どのような学校の人が採用されているのか,あるいは採用されやすいのか,ということがわかります.学部卒と院卒でも分かれて記載されています.院卒の学生しかとらないというような企業もありますから,確認しておくとよいですよ.
そのほか「四季報」について
就職四季報以外にも,「四季報」があります.多くの本が出版されているのですが,ここではその中でも就職活動に役立つものを紹介します.
就職四季報:優良・中堅企業版
今まで紹介していた企業は比較的大手企業が多かったですが,こちらは中堅企業が多く掲載されています.個人的には大手企業のほうが公開情報が多いことや,経営の安定性が高いことから,就職活動の初期には大手企業を見ることをおすすめします.とはいえ,魅力的な中小企業も多くありますので,とにかく視野を広げてみたいという方におすすめです.
業界地図
就職四季報の次に,就職活動において役立つのが「業界地図」です. 業界地図においては,各業界の順位や業績,株主などの提携関係をビジュアルで見ることができます. 各業界について,BtoCの企業は知っていても,企業同士の提携関係やBtoB企業は知らないということが多いと思います. 業界地図を見ることで,企業の位置付けを理解することができます.
会社四季報
年に4回発行される「会社四季報」は,投資家向けの情報誌です. ですが,もちろん求職者が見ても損はありません.どちらかというと「内定をもらった後に見て,利益などを確認する」というのが良いと思います.就職を機にNISAなんかで株を始めよう,せっかくだし個別株もやろうかな……みたいな方にもおすすめです.
まとめ
本記事では,就職活動において役立つ「就職四季報」について紹介しました. 企業から掲載料をとっていないので,有給休暇取得率などの客観的な情報を得ることができます. 企業のホームページと違ってフォーマットも統一されていますし,何よりパラパラめくることができるのが良いところなので,ぜひ一度書店で手に取ってみてください.