はじめに合った
「ESが通らない!」「志望動機とか言われても、そもそも働きたくないが……」というような悩みをお抱えの方,多いのではないでしょうか.今回は,そんな悩みを解決するために,志望動機の作り方についてまとめていきます.ぜひこの記事を読んで,志望動機に怯えない就活を送ってください!
「志望動機を教えてください」は志望動機を聞いていない
さて,いきなりの爆弾発言で恐縮ですが,「志望動機を教えてください」という質問は,実は志望動機を聞いていないのです. じゃあなんだよ!! と思われるかもしれませんが,この問いは「貴方がうちの会社の事業内容や社風を知っていて,かつ自分がそれにマッチしているということを主張してください」という問いだと頭の中で置き換えてください. ショッキングかもしれませんが,企業としてはあなたがどんな理由で入社したいのかという本当の気持ちには興味がありません!それよりも,あなたがその企業に入社したいと思っている(仮初でもかまいません)理由を,どれだけ説得力を持って主張できるかということに興味があるのです.
だって,会社は仕事として新しいお客さんを見つけたいですよね.その時に,「どうしてこの商品がおすすめなのか」「どうしてこの商品を買うべきなのか」ということを,お客さんに説明するわけです.しかし,この時に説明すべきなのはあくまでもお客さんにとってのメリットですよね.今ここではお客さんは志望先の会社で,あなたが商品です.ですから,説明するべきなのはあなたがその会社に入社することで,会社にどんなメリットがあるのかということです.
志望動機で説明できる,会社にとってのメリット
会社にとってのメリットは,これからガクチカなどを通して何度も説明することになりますが,志望動機の部分で語れるのは,「私は企業研究できる人間ですよ!」というアピールです. これもお客さんに例えますが,いくら同じ商品を売るといっても,お客さんによってアピールポイントは変えなければなりません.ある人には「これを使えば家事の時間が減りますよ!」というべきでしょうし,またある人には「家計の節約になりますよ!」というべきでしょう.これは志望動機も同じです.企業に「あ,こいつ,どの企業にもおんなじ志望動機送ってるな.」と思われてはいけません.ただそれは,企業が拗ねているからではありません.そうではなく,そんな人はお客さんに「この人,たぶんどのお客さんにも同じこと言ってるんだろうな.」と悟られてしまい,戦力になりにくい人だなと判断されるからです. つまり,志望動機はそれぞれの企業に独自のポイントを入れる必要があります.
野村総合研究所の場合
さあ,具体例をみて企業がどんな人材を求めているのかを考えてみましょう.たとえば大手SIerの野村総合研究所です.
問題分析
たとえば野村総合研究所は,少し前の記事ですが野村総研、グローバル化が課題 海外売上高1割止まり という日経の記事があるように,グローバル化を進めて行くつもりはありながら,まだそれが道半ばであることがわかります. であれば, 俺こそがグローバル化を進める人材だ!! ということをアピールするのがいいかもしれません.やってみましょう.
志望動機の例
こういう時に,「御社はグローバル化に向け,今まさに歩みを進めているところだと存じます.私は○○という経験から,未知の風土にも柔軟に対応でき,異文化コミュニケーションも得意です.そんな私の特性を御社に生かせると思い志望いたしました.」という志望動機は,まさに野村総合研究所にとってのメリットをアピールできていると言えるでしょう.
こういう文言をすでにグローバル化が進展しきっている企業や,まったくそのつもりがない企業に送っても当然逆効果です.ですがだからこそ,ESを読んだ人や面接官に「おっ,この人うちの会社のこと調べてるな.これなら,お客さんに送り出す時もお客さんのことを調べて,そのお客さんにとってのメリットをアピールしてくれるんだろうな.」と思ってもらえるのです.
少し追記
またここで大事なのは,できるだけフォーカスを絞るということです.その意味では,「グローバル化を目指す」というのはちょっと弱いです.なぜなら,「グローバル化を目指す」というのは,野村総合研究所だけでなく,多くの企業が目指していることだからです.ただ,野村総合研究所のある種ライバルであるNTTデータはグローバル化がすでにかなり進展している企業なので,「野村総合研究所はきっとそこを気にしているだろう」と思うと,わりと意味がありそうです.できる限り,多くの企業には当てはまらない特性で,かつその会社が本気で気にしている部分であればあるほど,価値のあるアピールとなります.
自分の長所を後付けする
さて,ここまでで,志望動機は「自分が企業研究できる人間であることをアピールするためのもの」ということを伝えました.ですがあと一つ,志望動機を企業が語らせるには理由があります.それは,「自分という商品を売り込めるか?」ということです.今まで語ってきたことというのは,商品を売るうえでは「お客さん,家計の出費に悩んでいますね?」と見事悩みを看破したことに相当します.しかし,それだけでは商品を売ることはできません.なぜなら,まだお客さんは「この商品を買えば節約できる」ということを納得していないからです! さあ,同じことを志望動機にも当てはめてみましょう.企業研究で企業が求めている人材を理解したなら,次は「私はその人材ですよ!」ということをアピールするのです!.これは,あなたの長所を具体的に後付けすることで実現できます.
野村総合研究所の場合
先ほどの例では「○○という経験から~」と書きましたが,この○○が重要です.ガクチカ程長くある必要はありませんが,できるだけ具体的に考える必要があります.例えば「弊ゼミには留学生が多く,日ごろから留学生とかかわることが多くありました.はじめは戸惑うこともありましたが,一緒に話をしているうちに打ち解け,留学生の方からも日本語を教えてもらったり,一緒に勉強したりするようになりました.」というようなことを書くと,「異文化コミュニケーションができる」ということをアピールできます.ある程度「盛る」ことは許容されます(企業のほうもどうせ盛ってること前提で聞いているので,逆に盛らないと「盛ってこれ?」と思われる可能性もあります)が,さすがにまるっきり嘘は厳しいでしょうから,ある程度は事実に基づいて盛りましょう.
それでも厳しい場合
「どうしてもいいエピソードが思いつかない!!」という場合は,嘘をつくことを選択するか,新しくまた企業へのアピールポイントを探すか,そうでなければ志望先を変えるかのどれかを選択するしかありません.大変ですが,ここで頑張ることで,ESの突破率や面接の通りやすさが大きく変わってきます.
まとめ
今回は,志望動機の作り方についてまとめてきました.
- 「志望動機を教えてください」という質問は,実は志望動機を聞いていません.
- 志望動機は,「自分が企業研究できる人間であることをアピール」し,「企業研究して見つけた,企業が欲しい人材に自分はマッチしていると伝える」場です.
- 企業研究はなるべく具体的に行い,企業が本気で気にしている/あまり他社とはかぶっていない部分を見つける.
- 企業が欲しい人材に自分がマッチしていることを,具体的なエピソードを用いてアピールする.