ポジショントークってなんだ?頼るべき人と頼るべきでない人

はじめに

最近よく「ポジショントーク」って聞きますよね. 私個人としては,この言葉には少し違和感があります.というのも,あえて名前を付けることで,あたかも「自分の立場を有利にするための発言」が珍しいもの,特別なものとして扱われているように感じるからです.しかし,これって本来当たり前のことなんじゃないかと思います. もちろん短期的な利益ばかりを追求する発言をすることで長期的な信用を失ったり,他人に嫌われたりすることもあるとは思いますが,それはどちらかというと長期的な利益と短期的な利益を適切に比較できなかったことによる「誤った判断」であって,別に長期的な視野に立って短期的に見たら一見不利益な発言をすることも,ポジショントークには変わりがないと思うわけです.

ポジショントークは利用できる

さて,ポジショントークは,「自分の立場を有利にするための発言」です. この相手の立場と,自分の立場の目指す先/利益が一致しているのであれば,別に相手がポジショントークをしていてもいいですよね. これは例えば,就活エージェントも就活性も「とりあえず企業とのマッチングをしたい」という立場が一致しているわけですから,その点で二人は協力できるわけですよね. ただもちろん,一致しない場合もありますから,その時には相手の言うことをある程度聞き流して,自分で判断する必要があります.この場合についてはすぐ後で説明します.

人の発言の裏に隠れた「立場」を見抜こう!

ポジショントークを利用するためには,相手の利益を理解する必要があるということはお分かりいただけたかと思います.それでは,相手の利益を理解するためにはどうすればいいのでしょうか. 少なくとも就活においてはこれは比較的単純で,「誰からお金をもらっているのか/どうすれば報酬が発生するのか」を考えればいいです. 例えば就活エージェントの場合は,求職者と企業のマッチングが成立したときに企業から報酬が発生します. ですから,就活エージェントは「求職者と企業のマッチングを成立させること」を目指しているわけです.これは基本的には求職者と利害は一致しているのですが,相反する時があります.それは内定辞退の時です. 例えば求職者がよそで内定をとってしまって,就職エージェントと獲得した内定を蹴った場合には報酬が減ってしまうことになりますから,エージェントとしては内定辞退を防ぐために,求職者に対して「内定をとったら辞退しないでね」というようなことを言うわけです.これこそが(狭義の)ポジショントークです.

就活でよくある利益の相反

さて,就活エージェントと求職者の利益の相反については説明しました.しかしもちろん,これに限りません. あとこれは勘違いしてほしくないのですが,利益の相反は必ずしも悪いことではありません.相反する場合には相手の言うことは話半分に聞こうね,というに過ぎず,相反するまでは協力したほうが一般的には有利だと思います.

同じ企業を受けている友人

例えば,同じ企業を受けている友人がいるとします.しかし,採用の椅子は限りがありますよね. まあ友人に対してあんまりひどいことをするのは人間的にどうかと思いますし,そこまでする人はあまりいないとは思いますが,情報源として同じ企業を受けている友人だけを頼るのは賢明とは言えないと思います. ただ,「どうせ落ちるのであれば友人に内定を取ってほしい」という考えも理解できますので,クリティカルな部分は難しいとしても,基本的な情報共有などはしたほうが有益だと思います.

大学のキャリアセンター

大学のキャリアセンターは,一般に企業からは報酬を受け取っていません.就活エージェントは求職者から金銭を受け取ることはあまり多くありませんが,キャリアセンターは大学を通じて受け取っているわけですから,ある意味キャリアセンターにとって求職者は顧客といえそうです.とはいえキャリアセンターは企業からの大学の評判もある程度気にしますから,たとえばキャリアセンター経由の内定を蹴るなどの事柄については,反対されることもあると思います.

企業の人事

当たり前ですが,企業の人事は企業の利益を考えます.たまに親切な感じの人事もいらっしゃいますが,大概はその親切な感じの対応をしている間も業務時間として給料が発生しているのではないでしょうか?(違っていたらすいません) とはいえ,企業の人事と求職者の利益が一致しないことはあまりないと思います.企業もマッチしない人材を入れてもあまり意味がありませんからね.とはいえ,多くの企業の人事には採用ノルマがあるのも事実です.つまり,内定辞退は大きく計算が狂わされるわけです.ですので,内定辞退を防ぐために,企業の人事は求職者に対して辞退を引き止めることになります.

こういう私みたいなサイト

私のようなサイトは,広告収入を得ることで運営していきたいと思っています.ですから,私はGoogle Adsenseからの収入を得るために,できるだけ多くの人にこのサイトを見てもらいたいわけです.私はなるべく正確な情報を伝えることで評判を上げることでこの目的を達成したいと思っているので,その点で求職者との利害を一致させようと思っています.ですが,「広告収入を得るために,できるだけ多くの人にこのサイトを見てもらいたい」と思ってるであろうということは,これらのサイトを見るうえでは理解しておいた方がいいと思います.

ちなみにこのサイトは違いますが,サイトの収益化の方法はAdsenseに限りません.例えば,就活エージェントと提携して,紹介料を得るという方法もありますよね.そのような場合,そのサイトと就活エージェントの利益は一致していますが,求職者の利益とは一致していない可能性がありますよね.どの点で一致していて,どの点で一致していないのか.それを理解して付き合っていくとよいと思います.

利益相反って大体内定辞退の時に起こるよね

さて,ここまでいくつか例を見てきましたが,どうでしょうか. 大体の場合,利益の相反は内定辞退の時に起こると思います.それはそうですよね.企業や就活エージェント,キャリアセンターなどはとにかく求職者と企業をマッチさせることに利益を感じているわけです. ですから,求職者が企業のほうを向いている限り利益の相反は起こりません.優しい世界といえます. しかし,求職者が企業のほうを向かなくなった時には,一気にたくさんの利益の相反が起こります. こういう時には,就活エージェントは求職者に対して「内定は辞退しちゃだめだよ!」といい,企業の人事は「どこと悩んでいるの?相談してみな?」といいます.これに対して親切だな,と思うのは少し甘いと思います. 何せ,今のあなたと彼らは利益が一致していないのですから!

こういう時には,できる限り利害関係のない人と相談するか,自分で考えるかしましょう.

まとめ

ポジショントークは,「自分の立場を有利にするための発言」です. そして,相手の立場は,誰からお金をもらっているか,どうすれば報酬が発生するのかによって決まります. 利益が一致しているときは互いに協力し,相反するときは相手の言うことは話半分に聞き,自分で判断しましょう. 就活の時の利益相反は,主に内定辞退の時に起こります. 利益相反が起こるときは,できる限り利害関係のない人と相談するか,自分で考えるかしましょう.

おまけ:最後は自分で考えよう

最後に,私の考えを書いておきます.親や友人を含めて,あらゆる人間は立場を持っています. 職業や報酬によって立場が明確な場合はむしろわかりやすいですが,心の問題とかであったりすると,推論するのは難しいことも多いです.そういう時に,相手の立場を取り違えたままいうことを聞きすぎてしまうと,自分の利益を損なうことになります. 自分の利益を最終的に判断できるのは自分だけです.自分がどうしたいのか,どうすればいいのか,自分で考えることが肝要ですね.

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