はじめに
「学生時代に力を入れていたこと」いわゆるガクチカは,就活において非常に重要な要素です. ですが,ガクチカをどうやってアピールすればいいのかわからないという人も多いのではないでしょうか. そうでなくても,私自身,間違ったガクチカのアピールをしている人を見かけることもあります. この記事では,「どうしたら企業が求めるガクチカをアピールできるか」についてまとめていきます.
「学生時代に頑張ったことを教えてください」は,別に本当に頑張ったことを聞いているわけではない
志望動機の記事 でも似たようなことを書いたような気がしますが,別に会社はあなたのお母さんではないので,あなたが学生時代に頑張ったことには特に興味がありません. 会社が求めているのは,「あなたはこの会社に何のメリットをもたらすことができるのか?」ということです.もっといえば,「あなたはどんなスキルを持っているのか?」ですね. ですから,「学生時代に頑張ったことを教えてください」という質問は,以下の質問の言い換えであると心得ましょう.
「あなたはどんなスキルを持っていて,それをどう弊社で活かせると思いますか?具体的な経験付きで答えてください」
「会社にとってのメリット」を考える
とはいっても,あなたは新卒で,まだ何もできませんよね.そんなあなたに,事業内容とリンクした経験なんてふつうはありません.じゃあ,どんなことをアピールできるでしょうか?
スキルを「一般化」して伝える
一番よいのは,あなたが持っているスキルや経験を一般化して伝えることです. 例えば,あなたがサークルで冊子を作って文化祭に出したことがあるとします.この時に,「私は冊子が作れます!」「頑張って編集して,印刷所に持っていきました!」というようなことを言っても,志望先が出版社でもない限りは,あまりアピールになりません.では,何がアピールになるでしょう?それは,企画力 やチームをまとめる力です. だってそうですよね.冊子を作って印刷したんですから,それを企画しなければいけませんし,チームで働いているなら,それをまとめないといけません.それこそが,あなたが持っているスキルです.
もう一つ例を出しましょう.あなたは野球部で,大学野球の大会(あんまり知らないので深くは突っ込まないでください)で,ベスト8になったとします.この時に,「私は野球ができます!」「ベスト8になるために,みんなで頑張りました!」というようなことを言っても,まああまりアピールになりませんね.今回アピールできるのは,「自己管理能力」あるいは「チームの心を一つにまとめる」などでしょうか.大学野球の大会でベスト8になるためには,それなりに練習しなければいけませんよね.キャプテンであればチームを一つにまとめることが求められるからわかりやすいですが,別にただメンバーとして参加していただけでも,自己管理して練習を行う能力はアピールできますし,チームの盛り上げ役(モチベーター)であると主張することはできるでしょう.
なるべく企業が求めているスキルをアピールする
さて,ここまでで,あなたが持っているスキルを一般化して伝えることができるようになりました.では,どんなスキルをアピールすればいいのでしょうか?そのためには企業が求めているスキルを知るのが一番です.……それが一番なのは確かですが,ここでは楽をしましょう.基本的には以下のスキルをアピールすれば,企業が求めているスキルをアピールできると思います.
リーダーシップ
王道中の王道です.何かサークルやボランティアなどで,リーダーをやったことがあるなら,ぜひアピールしましょう.さすがに擦られすぎて企業も飽きているとは思いますが,かといってケチをつけることもしにくいタイプのガクチカです.
チームワーク
これも王道です.例えばチームで何かもめごとがあったときに,あなたが仲裁に入ったとか,そういうことをアピールするとよいと思います.仕事というのは基本的にチームで行うものですから,これを求めていない会社はほぼ存在しないといえます.
自分で考えて行動できる
いわゆる主体性です.これは,あなたが何かを考えて,それを実行したということをアピールしましょう.例えば,サークルのイベントを企画したとか,ボランティアで何かを考えて実行したとか,そういうことです.ですが,「独りよがりな人間だ」と思われるとよくないので,基本的には上の二つと組み合わせてアピールするとよいでしょう.「誰かを巻き込んだ経験」とか,よく言いますよね.
失敗にめげずに立ち向かえる
これは,あなたが何かを失敗したときに,それをどう乗り越えたかをアピールすることでアピールできます.仕事の上でも,当然ミスはありうることです.その時に,それにどのように対処したかを語ることで,あなたが失敗を恐れない人間であることや,失敗を隠さない人間であること.何より,失敗に心が折れない人間であることをアピールできます.
技術が好きである
これは特にメガベンチャー向きといえます.何か技術を勉強して,それで自分で何かプロダクトを作ったとか.そういう経験を求めるメガベンチャーは多いです.これは比較的,一人だけで行ったことでも評価される傾向にあるような気がするので,いわゆる「ガクチカ強者」「コミュ強」でなくてもアピールしやすいです.
会社それぞれが求めているスキルを知る
上のような汎用的なものでも十分アピールできますが,それでもやはり,会社が求めているスキルを知っておくに越したことはありません.そういうことは,募集要項のあたりに大概書いてあります.ここで見栄を張ったり,嘘をつく必要も企業にはありませんから,これを基本的には信用していいと思います. 例えば,私のES書き方記事 からの引用ですが,例えば以下のようなものがあります.
例:サイバーエージェント
サイバーエージェントは募集要項にこそ書かれていませんが,「エンジニア新卒採用を徹底解剖」 というページに,「「信頼できるパーソナルを持っているか」「周りがついて行きたいと思える人物か」「素直でいいやつであるか」と書かれています.詳細はページを参照していただければと思いますが,全体としてその時点での技術力よりも,言行の一致やチームとしての活動適性を見ていることが伺えます.
例:DeNA
DeNAのエンジニア職種紹介ページ には,「様々な役割・専門性を持った方と協働できるコミュニケーション力、ソフトウェアエンジニアとしての専門性を高める自己研鑽・自走力、それぞれの役割はありつつも、チームと連携し結果を出すオーナーシップ。」 と書かれています.サイバーエージェントがどちらかというと人間力的な部分を強調していたのに対して,DeNAは技術を自分で学ぶ力をはっきりと求めているのが特徴的ですね.このような場合には,例えば何かの言語を自分で主体的に学び実際に生かした経験などがガクチカとしては適しているでしょう.もちろんコミュニケーション力でガクチカを構成することは可能で,それはサイバーエージェントの場合と同様に,「チームで活動した経験」などをガクチカとして書くことで可能です.
例:野村総合研究所
野村総合研究所の「24卒向け 人事部長からのメッセージ」 には,「プロフェッショナルになるために必要な素養は2つです。何事にも挑戦し続ける強い意志、そして自ら考え自ら目標を立てて行動する自立性です。」と書かれています. このような場合には,「自分で考えて行動した経験」がガクチカとして適しているでしょう.他社選考においては,例えばほかの人がリーダーとなっているチームで活動した経験をガクチカとして書くこともあるとは思いますが,野村総合研究所の場合は,なるべく自分が先頭に立って考えて行ったことを記すのがよいと推察できます.
まとめ
本記事では,企業が求めているガクチカを作るための方法をまとめました.
- ガクチカは,「学生時代に頑張ったこと」ではなく,「あなたが持っているスキル」をアピールするためのものである
- スキルは一般化して伝えないと意味がない
- 企業が求めているスキルを知ることで,より効果的にガクチカを作ることができる
- 企業が求めているスキルは,募集要項や採用ページに書いてあることが多いが,テンプレートを使ってもよい
- 自分のスキルを裏付けるための根拠として具体的な経験を示そう